最初のセールキットは、なあんと説明書まで作っていただきました。

広島での撮影は無事終えたが、今回はメンバー全員が風に慣れていなかったこともあったし(実際H野さんは橋の下で加速された風で沈した)、真後ろ以外からの風はどのような挙動になるか見えなかったので、翌日の宮島への横断には使わないことにした(実際、帰りに凄まじい向かい風に悩まされたのでこれは正解)。
だが、海からの風を受けてスルスルと川を遡っていく、あの感じはなんとも楽しく(パドリング専門誌だけど)、これはこれでありじゃないか。それに、せっかくここまで作ったのだから、ここから先に行ってもいいんじゃないか。小生は「これは面白いパーツになる!」という確信を得るものがあったのだ。

と行っても小生だけが乗り気でもしょうがない。早速、この後もできれば商品化を目指すくらいで改良していきたい旨を高嶋さんに伝えた。
すると彼も「ぜひに」となった。
よし!これは面白いことになる。
もっとも、バタフライカヤックスとしてのプロダクトであるファルトボートの製造・販売をプライオリティ最優先にし、これは空いた時間に創っていくことになるので、スケジュールとしての線は厳密にはひかないことにした。

というわけで、まずは最初の小生からのフィードバックは以下の通り(当時のメールから)。
・前方が見えないので、目線のあたりは透明な素材にしていただけるとありがたいです。
・帆の収納方法:ブラインドのように横桁に巻き上がるか、添付のような感じでできるといいのですが(いっそもっとシンプルなセイルにします?)。
・その場合はマストの高さは2/3くらいでよろしいかな。
・使用しないときはマストが倒れる可倒式がよろしいかと。
・帆を送り出すラインがすぐに外れてしまうので、今の留具に下にもう一段、クリートなどをつけていただくことはできないでしょうか。

もちろん、「何かをやりたいから」「プロダクトを考える」わけで、同時のその理由も記しておいた。

「というのは、この帆掛けカヤックで瀬戸内海を縦断するってのやってみたいのです。広島の雁木は他の瀬戸内海に見られる雁木につながるのです」と送った。
高嶋さんからの返事には、「帆で瀬戸内海縦断も考えられていたんですね!大きなスケールになってきましたね。楽しみになってきました。それならしっかりと実用的に改良しなければいけないですね!海で長い距離となると、安全対策も必要ですね。とりあえず近いうちに海でそこそこの距離を進んでみます。合間を見て秋に使えるように進めていきます」という返事がきて、このプロジェクトは本格的にスタートすることとなった。

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