というわけで、フォルクスワーゲンT5ベースのキャンピングカー、「カリフォルニアコンフォートライン」の極私的評である。

結論から言えば、T4の機能性・デザインをよく踏襲し、車のパワートレインも進化しているのだろうが、たまたまT5がベースにあるから使っているだけで、T5でなければならない、という理由は残念ながら希薄であるように思えてしまった。
フロントマスクは、最近のVWのデザインを踏襲しているが、マークの大きさはどうにも気に入らない。大きすぎるのである。VWはそれほどにブランドイメージに自信があるのだろう。

ドアをあける。するとステップを照らすライトは、小技が効いてこれまたオーナー心をくすぐるつくりとなっている。

コックピットは国産のミニバンとほとんど変わるところはない。日本人の持つ「ドイツらしい重厚さ」というイメージは希薄に感じる。逆にいえば、国産車からの乗換えでも左ハンドル以外は違和感を持つことはないだろう。

後ろにまわってキャビンを見れば、ウェストファリアのエンブレムはどこにも見当たらないが、T4のつくりをそのまま踏襲しており、特に目新しさというものは感じられはしないが、普通に見ればよくできたつくりである。

安全性の確保から致し方ないのかもしれないが、大きさの割りに室内が小さいように感じる。ボディサイズと比較した室内容量の割合において、T3並みを確保することは、もう不可能なのである。しかし床の低さは国産のバンよりも低く、このあたりは流石という感じだ。(というか国産のバンはなんであんなに高くなるんだろう)

両サイドにあるレールは、オーニングなどのオプションをかませる仕組みになっている。これはなかなかのアイディア。できればポップアップルーフのサイドにも雨どいみたいなものをつけてもらえるとありがたい。

そしてポップアップルーフは電動。ただメッシュパネルはサイドに小さくあるだけ。日本においてキャンピングカーが稼動する時期(夏休み)と気候(高温多湿)を考えると、少なくとも前面にメッシュパネルは欲しい。できればボンゴのようにメッシュテントのようになってしまってもいいくらいだと思う。

リアシートのヘッドレストはうまく収納できる。また棚などの扉はシャッター方式になっており、荷物が載っていても楽にあけることができる。このあたりはやはり進化していると言っていいだろう。

で、気になるお値段は738万円から。オプション等を入れれば簡単に800万円は超えるだろう。ベンツベースの「マルコポーロ」と同じ値付けになっている。

というわけで、なるほどと思える装備はあれども、T3から乗り換えるだけの魅力にはまだまだ乏しいワーゲンベースの新キャンパーであった。
ま、もっとも実際問題として買えっこないんだけどね(笑)。