以前、実家に寄ったら「物置を掃除していたらこんなものが出てきたわよ」と言って渡されたものがある。なんと大量のスーパーカーカードである(もう一つ、大量になつかしモノが出てきたのだが、それはまた今度)。

写真に写っているのは極一部、うわー、こんなに沢山買っていたのねっていうくらい。しかもお袋はもう見向きもしなくなったカードを、大切にとっておいてくれたのだ。これが漠然と思っていたことを実体化するモチベーションとなったことは間違いない。

メーターに囲まれるコックピットというのも結構カッコいいと思っている。自分的なフェイフェイバリット・コックピットはランボウルギーニ・ミウラだ。正面にはスピードとタコの2つだけ。しかしセンターコンソールにまとめられた多くのサブメーター類がなんともSFチックでカッコイイのだ。

ヴァナゴンは基本的に高級車やスポーツカーの類ではないので、必要最低限のメーターしかついていない。ただワゴンタイプであるヴァナゴンGLがベースである我が愛機は、メーターもランプ類もいろいろついている方である。

しかしヴァナゴンの場合、伊達ではなくて本当にサブメーターがあった方がいいということは聞いたことがある。特に油温計と油圧計。そして電流の消費量に比べて90Aという非力なオルタネーターということもあり、電流計もあった方がいいという話しを聞いたことがある。

油のメーター系は、「半油冷」エンジンであるワッサーボクサーにおいては、オイルの管理は何よりも重要だからである。(もっとも今は水温と運転前のオイル量、クーラント量に気をつけていればいいくらいまでにはなったけど)

というわけで、前々の前くらいから油圧計、油温計、電流計をつけたいと思っているのだが、構想ばかりでなかなか進まない。構想、妄想の段階でパーツを買ってしまうから、部屋の中にパーツが溜まっていってしまうことになる。

まず悩んだのはメーターを置く場所。いろいろなT-3を見せてもらったが、どうも僕的にはイマイチ目線から遠い(座高も高いしね)。「ミウラ」を理想としている以上、やはり目線の行くダッシュボード周りに置きたいものである。そこでいろいろと探して出てきたのが、ダッシュボードにかぶせるような形のボード。この前面にメーターを埋め込むことができないかというわけだ。実際エッティンガーチューンのヴァナゴンには、こうしたダッシュボードカバーにメーターが埋めこまれていたのである。

そして取り寄せたダッシュボードカバーは、…うーん、素材感がイマイチなのだ。

そういえばエッティンガーはウッドパネルだったな。そうだ!これもウッドパネル化してしまえばいいんだ!!
さて、一番目につくダッシュボード前面のウッドを何にするかなのだが、なぜか迷わず「チーク材」がアタマに浮かんだ。チーク材は船の甲板などに使われる木材。船に使われるくらいだから、乾燥や湿気、その他悪条件にも強いだろうというワケである。

そしてもうひとつ、長い間伊豆に係留されて船上レストランとして使われていたスカンジナビア丸(ステラ・ポラリス)が、昨年の夏、回航中に沈没するというショッキングな事件があった。カヤックでこの美しい船のもとを訪れたとき、案内してくれた人が貴重なチークをふんだんに使った貴重な船だと教えてくれたのだ。

昔から木工は好きでした。

それで、チーク=強い材=貴重 という式が出来あがっていた。

そんな貴重なチーク材なんか手に入らないだろうなあ、と思いながら、東急ハンズの素材コーナーに行ったら…あった(笑)。

ただt=3mmと5mm、幅は5cmと10cm、長さはいずれも100cm。クリスマス前の東急ハンズは激コミ。カットに1時間以上待たされるので、家でやることにする。

ダッシュボード前面、上面、そして「時計」用ベースと3つの場所をチーク化するわけである。でも取り付けるには細かい調整が必要になりそうなので、荒荒にカットして仕上げはファントムで現物に合わせながらやることにする。

木目と素材の質感が出るように透明なものを選んだ。

岡田メカが他の場所を修理している間にやってしまおう、というわけだ。

ファントムガレージで岡田メカの作業を邪魔するわけにはいかないので、木工に使いそうな工具類も一緒に持っていくことにした。場所だけ借りて自分でできるところはやってしまおうという算段である。

というわけで車の中はパーツ類だけではなく(2006年12月29日の日記)、大量の工具類までも積まれることになったのだ(苦笑)。

それだけにコックピットにはコダワリがあるわけです。そしてそれが僕だけでは無いはず。なにせこのコックピット界、専門誌もあるくらいですから(笑)。

そしてファントムガレージではエンジンの調整をしている岡田メカを横目に加工を始めます。

まずは切り出したチーク材を、サンダーを使って面取りします。いかにも切って貼りました、ではなんなので。そして、表面には素材をそのまま出す透明ニスを塗ります。東急ハンズで、布ですりこむタイプというのがあったので、それを買ってきました。乾いたら塗り、乾いたら塗りで3回くらい塗ったけど、またいしばらくしたら塗りこむつもり。

次ぎに今回の目玉のひとつ、VDOの時計を取り付けるベースを作ります。

50mm径のホールソーで穴をあけ、しかしそれでは時計が通らないので(時計そのものは52mmある)、ドリルにヤスリをつけて慎重に穴を広げます。

時計の本体が通るようになるのを確認してから、丁寧にニスをすりこんで行きます。それを3回続けた後、乾燥します。
そしてダッシュボードの改造に入ります。本当は補助メーターの仕込みも一緒にやりたかったのですが、100%の準備を待っていたらいつになるのかわかりません。パネル前面にメーターを仕込むとなると、上面にあるカップホルダーやモノ入れのくぼみが邪魔になることがわかりました。そこでこの「窪み」を丸々カットしてしまうことにします。

ドリルで角となる4隅に穴をあけて、その間をジグソーで一気に切断します。そしてカットした後にできた穴は、パネル前面と同じように5mm厚のチーク材をかぶせます。

そして前面には3mmのチーク材をボルトで止めました。接着剤でも良かったんだけど、目的はメーターをつけるためのボードなので、それは最終目的であるメーターを仕込むときに決めることにしよう。

そしてここでいったん作業を止め、時計を取り付ける作業に移ります。

手に入れたVDOの時計ですが、奥行きが前についていた時計よりもあります。入らなければ仕方ない(汗)ということになってしまいますが、プラ板でつくったゲージホルダーから、今回は厚みのあるチーク材のホルダーに替えるのでなんとかなるかも知れません。仮組みしてみたところ、スペース的には問題無く入りました。


というわけで、いきなり完成画像ですがこんな感じになったのです。

もとの時計がついていた配線を外し、VDOの時計の配線を取りつけます。常時電源のはずなので問題無く動くはずなのですが…動かない…。

うーむ、今回のキモはここにあったか?!

もしかしたら不良品?という恐れにおびえながら様々な理由を考えてはつぶしていきます。日はすっかり暮れてしまいました。

そして試行錯誤を繰り返した後出た結論は(全て書いたら、多分2日分くらいになってしまうかと思うので割愛します)…最初に電源を取っていたプリント基盤が死んでいたというもの。なんども取ったり外したりしたから弱っていたのだろう。

そのため、プリント基盤に来る前の配線から電源を取ってくることになりました。

そしてどうだ?!   

やたー!動くぞ。明るさもスイッチに従って一緒に変化します。

VDO+ウッドのゲージホルダーで一気に高級感が増したように思いませんか?(笑)