そう、今手元にヴァナゴンは無い。
どこに行っているかと言えば大阪。
何をしているかと言えばミッションとデフのオーバーホール。
そう、ついに残っていた大物パーツ、ミッションとデフのオーバーホールをすることにした。なぜ今かというとやはりパーツの問題。開けてなんともなければ大してパーツは必要ないけれど、もしとんでもないところがヤバイ状態だとパーツの調達がままならないことも、今後発生してくるだろう、ということから。
エンジンのオーバーホールで元気になれば、次の負担は伝達装置に行くわけで、確かに最近は特にシフトダウン時のショックとバックに入れたときの反応の鈍さが気になっていたし、ミッションの壊れ方は、聞いている限りでは、結構唐突に壊れるようなので、心理的にも結構負担になっていたのだ。
修理するところについてはいろいろ調べてはいたのだけど(このあたりは「男の隠れ家ONLINE」に書くつもりではいるのだけど・・・)、なかなか「これ」というショップに行き当たらない。
あるワーゲン誌に掲載されていたショップは、すでにパーツの欠品があると言われたし、ある人から聞いたところは修理後すぐに壊れたとかなんとか、ファントムさんは、今はミッションまで手が回らない、ということもあった。そんな中、Sさんから信頼できるショップを見つけたというので、ご紹介をいただくことになった。
しかしこれまた大阪にある店である。
というわけで大井川から針路をさらに西に向けて走り出した。
雨で撮影もままならないので、そのまま大阪に向かうことにする。ゴク普通に高速を使えばいいのに下道を走っていくことにした。理由は費用的な問題。まったく貧乏学生のときと変わらん。雨はどんどんひどくなり、T-3のひ弱なヘッドランプでの運転はキツクなってきた。連休明けには原稿が欲しいといわれていたので、途中にあったマックでFENEKの原稿を書く(打つ?)。しかし疲れたアタマでは半分が精一杯だ。再び車に乗り込んで西へ走る。
…あまりにも考えられないルートになってしまったので略…
で、ナビで「一般道優先」にして走ってきたら伊賀に出てしまっていた。なんで??
もう考えるのも面倒なのでファミレスに入って残りの原稿を一気に書き(打ち)あげてしまう。時間はもう0時を回っていた。うーむ、今晩はどこで仮眠しよう?流石にファミレスの駐車場で寝るわけにはいかないよなあ…。で、再び走り出して約2時間、なんか川沿いを走っていたようなんだけど、うつろな目でようやくすべりこんだのは国道の休憩ゾーン。明日は平日だというのに駐車場はほとんどいっぱいだった。雨が止んだので、ファルトボートを後ろのサイクルキャリアに移し(どうせ大阪に行くなら、そのままモンベルに返却できるな、と積んできたのだ)、ようやく寝床を作って仮眠する。旧車キャンパーで撮影行なんて優雅に見えるかも知れないけど、僕の場合はこうである。


やってきましたハクバオート。ここが今回の修理の舞台。でもやっぱり大阪だったりするのです。

やってきましたハクバオート。ここが今回の修理の舞台。でもやっぱり大阪だったりするのです。

最後に残った(はずの)大物。ミッションである。
この話し、「男の隠れ家」に掲載するはずだったんだけど、今月で休載ということなんで、こちらに掲載。もうほとんど原稿できていたんだけどねー。エンジンこそリフレッシュしたものの、エンジンが元気になれば、その分その動力を大地に伝える伝達装置、つまりミッションにもかなりの負担がかかることになる。
ATF交換を頻繁にしてしのいできたが、周りにもミッションが不調となる車が出てきたので、どうしようかなあ、と考えていた。どうしようかなあ、というのはお金のこともあるし、実績のあるショップじゃないと、下手すると修理前よりもひどくなるという状況になりかねない。リーズナブルな料金で信頼できる店ミッション編。そんな店あるのだろうか。ミッション・インポッシブルなんてならなければいいけど。 
それまで多少変速ショックは大きかったものの大分ごまかしながら乗っていたのだが、ある雑誌に載っていたワーゲンゴルフのミッションの修理記事で、欠品パーツが出ていると書かれていたことが修理を決意させた(このあたりは前にも書いたかな)。
そんな折、大阪在住のSさんがそんな条件に当てはまるショップを紹介してくれた。Sさん自身がミッションを壊して、ようやく見つけた店だという。
…というわけで、大井川と接阻峡の取材の帰り、というかこちらからすると行きになっちゃうんだけど、訪ねたのが大阪は伊丹空港のすぐそばにあるショップ、「白馬オート」であった。
国道からちょっと奥まったところにあるので、発見にちょっと手間取った。ボクが修理をお願いする店はなぜだかこういったところが多い。裏にある実力派の店、いい感じだ。
ヴァナゴンを倉庫のようなガレージの脇に止めて車を降りる。ガレージの両脇にはレースカーが何台か置かれていた。開店時間ちょっと前だったが扉が開いている。そこからムスタングマッハ2が見えた。
車を降りて「すみませーん」と声をかけるとつなぎを着た人が出てきた。 
「あ、ヴァナゴンの…」と言うと、お待ちしてましたー、と言われ、ガレージの中に車を入れた。着くなり挨拶もそこそこに車の症状の説明に入る。ちょうど対応してくれたのが、ミッションの修理を担当する久保さんだった。
500馬力を超えるエンジンに対応するミッションの組み上げも依頼されることもあるそうだ。その1/5にも満たない95馬力のMVエンジンをつなぐ3速オートマチックが、どんな風に再生されるか楽しみだ(って限られた予算で…)。
そういえば、これがアップされるときはクリスマスですね。すっかり子どものためのクリスマス、となりましたね。今年はVWマークにリースはつけられなかったなあ。


ショップ内の棚にはミッションがずらりと並んでいた。
※撮影許可をいただいて撮影してます

変速ショック、それもシフトアップよりもダウンの方が大きいこと、バックに入れてもギアが入るまでにタイムラグがあること、なんとなくうなるような音がすることなどを伝える。ただ普通に走るには未だ問題はないということも。
「ミッションはいきなりイってしまうことが多いんですよ」とメカニックの久保さん。
部品そのものは20万kmだろうが30万kmだろうが走るだけの耐久力はあるそうだが、しっかりと整備されていないことが多い車だけに、負荷がかかって壊れることもあるようだ。というか、もともと20万kmを走っている車、消耗品は相当消耗していることは容易に想像ができる。

そして20年前の車ということで気になるのはパーツ事情。そのあたりのことも聞いてみた。
T-3に使われているこのミッションに関しては実用車だけあって、結構他車と共通する部品も多く(ワーゲンがパーツをOEM供給をしていたメーカーなんかにもストックはあるそうだ・・・さて思い出してみよう)、今の段階ならよほどの無い限り修理、整備は可能だそうである。ただワーゲンジャパンのみから取り寄せる、ということだけで考えると厳しいだろうなあ、ということ。

ハクバオートのスタッフに愛機を託して帰途につく。掲載が結局このブログになってしまって申し訳ないっす。

「基本的にはポルシェと同じなんですよ」とも。確かにリアエンジン、リアドライブはレイアウトも同じ、エンジンをポルシェのものに載せ替えている人もいるけど、僕的には修理費がポルシェ並みになってしまったら困るなあ(苦笑)。
とにかく開けてみたあと、どのような状態か連絡をいただけるとのこと。エンジンのような状態になっていないことを祈るしかない。外に出てみると、BMWベースのレーシングカーがあった。「ほんの趣味でやっているレースです」と出井さん。
代車はスバルプレオ。軽自動車。遠くから来ていただいているのに、と恐縮されたが、まあ当面は取材も無さそうなので全然問題なし。逆にガソリン代や高速代が節約できそうだ(笑)。
ヴァナゴンに載っていたファルトボート2艇とその他荷物を移す。いまどきの軽自動車は結構載るのでビックリ。取材で借りたファルトボートを返しにモンベルの倉庫に向かった。


あまり普通のショップには見られないような車の修理をしているところが隠れた店かも。
※許可をもらって掲載しています。

この記事をアップする前にカウンターをチェックしてみたら総PVが29万を越えていた。
ちなみに記事数は750を越えている。最近はT-3の記事もだいぶ少なくなってはいるけど、ここまで書いても修理ネタがなくならないのはどうしたことか。あるT-4オーナーの方がやっているブログを偶然見つけたのだけど、こんなに壊れる車があるんだと勇気付けられたそうで(苦笑)。
さて預けてから一週間くらいしてハクバオートから連絡が入った。
結構深刻な声。ま、またエンジンの悪夢の再来か?
なんでもデフのケースの錆がひどく、別のケースがあったら交換した方がいい、という話なのだ。なんでも「ミルフィーユのようにがさがさと剥がれ落ちていくんですよ」とのこと。
ハクバオートでは、ミッションと一緒にデフもオーバーホールのメニューに入っている。
デフケース?
画像を送るようお願いして、こちらでもパーツを探してみると伝えた。
先にOHを行ったSさんの様子はどうだったか聞いてみると、確かに錆はあったが交換まで促されることはなかったという。Oさんもいくつかあたってくれた。ファントムの岡田メカに聞いてみると、ケースだけ流通することはまず無く、アメリカにあって取り寄せることができても、重量から相当な値段になってしまうだろうということ。
うーん、結局一筋縄ではいかないってこと?!
しかし、ほとんどの車はすでにデフケースが錆びており、前に僕の車を見た感じではそんなにひどくなかったはずだとのこと。「んー、もっとひどい車もありますからねえ」と岡田メカ。昔の車なのでこうした重要部品の肉厚は相当あり、研磨して塗装をすれば当座は平気なはず、という。
なるほど。
その旨を伝え、研磨と塗装で対応できないか検討してもらうことになった。
んで、肝心のミッションは特に異常なところは無く、消耗品の交換を主とした通常のオーバーホールで十分とのこと。いやとりあえずは良かった…のかな。
その後、デフケースは研磨でなんとかなりそうとの連絡が入った。まあとにかく良かった。あとは修理完了の連絡を待つだけである。


なんとも珍しく、(…いや今後は当然となって欲しいのだけど)減るべきものが減るだけで至極まっとうな修理で終わった今回のミッション・デフオーバーホール。
2008年も今日でおしまい。今年もいろいろあった。僕的には残念ながら人生上の舵を切り損なってしまったので、クイの残る1年となってしまった。もうひとつ考えていた可能性の断念もあった。ここ数年は、どのような状態でも生きていける道を探し続けることになりそうである。
「男の隠れ家ON LINE」の連載も昨日アップされたもので休載となる。残念というお話しもいただいたけど、ON LINEそのものは継続されるとのこと。
ただ「旅するT-3」が再開できるかどうかは新しい編集部次第ということだそうだ。
もし続きを掲載してもいいよ、という場を提供していただけるところがありましたらご連絡くださいませm(__)m。
なんかここまででもあまりいい年だったとは言えないか。後厄ということで来年はリセットされればいいんだけど。
さて12月の中旬、ミッションとデフの修理完了の見込みが見えたと連絡が入った。様々な負荷テストをしてから引渡したいとのことなので、引き取りは連絡が入った日の翌週末にした。月曜に休暇を取れば4連休。家族で行って大阪方面で遊んでこれるかなあ。しかし考えてみれば、長男は月曜日学校がある。昔のアウトドア作家の本では、よく息子と遊ぶために学校を休ませるような記述があったけど、僕は基本的には反対。極力学校は休むべきではないと考えている。
というわけで、車を取りに行くついでにUSJに行き、愛機T-3で帰京するという完璧な計画を立てていたのだが、なんと前々日になって次男が消化器系に来る風邪に感染。いったん回復傾向になったのだが、前日夜に再び悪化したので家族で行くことは断念することにした。Tさんスミマセン。またお会いできる日を楽しみにしています。僕だけで行くことになるかなあと思っていたら、長男は行きたいという。そのため大阪で予約した宿は人数の変更だけすることにして(流石にキャンプは止めた)、長男と大阪に向かった。はじめての二人旅である。

この中に長男が行きたいと言った理由がある。
代車である軽自動車に最低限の荷物を載せて、最初考えていた時間よりも2時間ほど遅れて出発。うーむ、これで家族4人+荷物を載せて大阪まで走るは流石につらいかなあ。そして大阪に着いたのは16:00。それでもT-3ヴァナゴンで行くよりは1時間は早い。それに高速道路料金も普通車より安いし、燃費もぜんぜん違う。
うーむ、Tantoとかマジいいかも知れないよな、なんてフラチながらも考えてしまうのであった。
そして最後に、2008年もご愛読いただきありがとうございました。


長男が行きたがっていたのはこれ。レーシングカーがあったよ、という一言がひっかかっていたようなのだ。このときはガレージ内に入っていたのだけど、乗せてくれたばかりかエンジンもかけさせてくれた。エンジン音はSGT300みたいだー、と感動していた。良かったねー。でも押しボタンのイグニッションスイッチいいなあ。ヴァナゴンには似合わないか(笑)。 
オーバーホールして交換したパーツを全て取っておいてくれたので写真を撮らせてもらう。どこをどう交換したか部品も合わせて解説してくれるのは当然だと思うけど、修理の内容に自信が無ければこうはいかないよなあ。

クラッチは自然磨耗だけど厚さは半分くらいになっていた。これでは滑りますよ、とのこと。あとはシール類などを交換。その後の取り扱いとしては、特に慣らしとか必要も無く、ATF交換にしても通常の期間で交換してもらえればいいとのこと。引渡しはなんともあっけなくされたのだった。というか、気遣いを無くすためのオーバーホールなのだから、それでいいわけである。
ちなみに最も気になるお値段は、僕の場合は幸い基本料金だけで済んで20万円代中盤。往復の交通費を含めれば30万円を少々越えるくらいかな。ミッションとデフ双方でこの値段だからかなりいいところではないだろうか。

例によって車の状態によって極端に変わってくると思うので(特に入手困難なパーツの交換が必要になるとたいへん)、ミッション・デフのオーバーホールを検討している人は問い合わせて見てください。開けてビックリというのもあるかも知れませんが。でも僕はこれで冬~春はお金がかかるものは買えない、できないことが決定~。
ただ交換が必要なパーツがあったとしても違う車種からの流用も考えられるという。ある意味、いろいろな車をいじってきた経験とノウハウがあるからこそできる技とも言える。
この記事を書いているのは実は12月23日だったりするのだけど、今のところ全然問題なし。いたって快調である。