オーバーホール後、受け取った車のトリップメータは93,716mile(約150,000km)を指していた。ファントムガレージを離れるときに、まだ完調ではないと言われ、いくつかのCareをした方がいいところを告げられた。

今回のオーバーホールと修理は予想以上の期間と費用がかかってしまったこともあり、実は完全な復活とは言えなくなっていたのだ。耐用年数や走行距離から考えれば、交換してしかるべきの部品や補機類も、とりあえず使えるものはそのままにせざるを得なかったのである。
そのため、機会を見て順次交換をしていこうということになった。

水温センサーとバッテリーはできれば交換がいいとされ、オルタネーターに至ってはなるべく早く交換した方がいい、という状況。オルタに関しては、ベアリングやブラシなど都度交換できるものもあるが、全てを交換するが結果的に安上がりだという。そして新品の必要もなく(新品自体ないという話もあるが)、リビルド品で十分だろうということだが、それでもこのときの懐には痛かったのである。
さらにアイドリングのコントロールに難があり、アクセルを踏んで戻したときに、エンジンの回転が落ちにくい。

また交換を予定していたクーラントパイプの到着が間に合わないなど、結局退院その日に、既に次回入院日を決めておくという、なんとも情けない出庫となったのであった。
そしてこれが後々、続々と、まさに予告通り壊れていくのである。

オイルに関しては、今まで「BPクラシック」というものを愛用していたのだが(2004年6月9日の記事)、OH後はそこまで硬くなくてもいいだろうということに。通常期で10W-40、夏場でも15W-クラスで十分だろうということだ。このオイルは普通のものの倍くらいの値段であったので、とてもありがたい。

琵琶湖の湖畔の道の駅で夜を明かし、まだ仲間が車の中で寝ている間にエンジンをスタートさせた。朝もや乳白色の景色の中に、ワッサーボクサー独特の低い排気音が這う。
暖気を終えるとゆっくりと走り出した。まだ車もほとんど通らない琵琶湖大橋を渡り、国道をひた走る。なぜか高速に乗るのがもったいなく思えた。アクセルを踏んだ分だけきちんと加速していく。まだ慣らしの段階であるのと、ミッションに不安があることもあり、慎重にアクセルを踏んで行く。当然ではあるのだろうが、Responseは今までと比較にならないくらいよくなっている。

名古屋を過ぎ、浜松を過ぎると適度なアップダウンがあり、停止・加速を確認する。
ブレーキングでは、とにかくギシギシ・ミシミシと不快な音がしなくなったのはありがたい。そして上り坂ではアクセルを踏み込むとグイグイと上っていくのである。「トルク感」という感覚をこの車ではじめて味わうことができた。2,500rpmあたりからも伸びていく(それって普通らしいのですが)。

そしてなんとありがたいことに浜松バイパスや藤枝バイパスなどの通行料が4月から無料になっていたのである。これは朗報。お金的なことももちろんだが、左ハンドル幅広車のヴァナゴンで、お金放り入れ型のゲートを抜けるのはえらく苦労するのだ。

静岡の手前で渋滞にぶつかる。ここの渋滞はいつものことだが、T4ベースのキャンパーとすれ違った。ドライバーと目が合う。しかしあとにも先にもワーゲンベースのキャンパーの遭ったのはこのときだけであった。
なんと沼津ICまで一般道で来てしまった。そのため東京には例によって深夜到着。まったく満足のうちに帰ってくることができたのだが、それはこの日だけのことになるのであった(苦笑)。

気になった点としては、相変わらず水温が安定しない。この車の水温は安定しないものであると思っていたのだが、それはどうやら間違いで(苦笑)、針が上に行ってしまうのはともかく、安定した走行において水温が落ちるのはいわゆる「オーバークール」という状態だそうで、水温センサーかサーモスタット、もしくは双方が機能していない可能性が高いそうである。

また、アクセルを戻してからの回転の落ちがだんだん悪くなってしまい、エンジンブレーキがほとんど効かない状況になってしまった。この時点ですでに、懸念されていた症状の萌芽が見え始めていたのだ。
そして、さらに予言は事実となって次々と的中していくのである・・・。