遠征準備の終了した、我がフォルクスワーゲンT3ヴァナゴンWestfaria。
というわけで、なんだかんだありましたが、なんとか出発までに必要なものをそろえることができた。まあ何か不足のものがあっても、とりあえずは日本国内を走るので、なんとかなるだろう。
しかし相変わらずタペットの音が盛大に出ているのが心配だ。しかし僕が直せるわけでもないので、そこそこの油圧がかかり続ける高速走行をして様子を見ることにした。岡田メカも「高速を走っているうちに消えるかもしれませんよ」って言うし。
西に向かうときには、以前は東名高速を使っていたが、今回から中央高速を使うことにした。東名のICまで(僕が使うのは横浜青葉)行く時間があれば、早々に中央高速のIC(国立府中)に乗ってしまった方が、距離が稼げるのである。まあそれほどまでに東京の周辺の道路は込み合うのだ。
中央高速に乗って3000rpm~4000rpmくらいの負荷をかけて順調に走る。走りは異常が感じられないのだが、SAに入るたびに音を確認すると、カチャカチャ音が続いており、止みそうにない。むしろ大きくなっている感さえある。このまま高負荷で走り続けるのは、ちょっと危ないような気がしてきた。
うーむ、困ったなあ。
名古屋で中央高速から名神高速に入ったあたりから雨が降り始め、米原を過ぎると本降りになってきた。初日からこれかあ、まあこの分晴れてくれればいいんだけど。
しかし予想よりも距離が伸びない。大阪入りは結構遅くなってしまいそうだ。ファントムガレージの岡田メカには、音が収まらなければ寄っていってくれと言われていたが、ちょっと申し訳ない時間になりそうだ。しかし明日朝には明石のフェリーターミナルに入っていたい。
そのうち室内にもカンカンという音が聞こえてくるようになった(かみさんは聞こえないというが、僕は「ヴァナゴン耳」になっているので、音を聞き分けるのである・笑)。これはいかん。雨が降りしきるSAに入って車を止めて外に出ると、もう排気音よりも金属のアタリ音の方が大きいくらいになっていた。
岡田メカに電話をかけてお伺いを立てることにした。
「やっぱり音は収まりません、こんな感じです」と携帯電話をエンジンの横に持っていく僕。
「これは酷いですね。寄ってください」と岡田メカ。
名神から国道1号へ。雨、夜の道をバラバラ、カンカンと騒々しく走って、ファントムガレージについたのは深夜だった。
春先ではあったのだが、京都に近いここは結構冷えていた。愛機の中で既に寝ていた子供たちを抱きかかえ、ガレージの中にあるファントム号のベッドに寝かせて、リアゲートのサイクルラックに置いてある荷物を降ろしてゲートを開け、エンジンの上に置いてある荷物を降ろしてエンジンフードを開ける。
岡田メカが調整をはじめると、見る見るうちにカンカン音は消え、低くくぐもったエグゾーストノイズだけが聞こえてくるようになってきた。
とりあえず音を消すために間を詰める調整をしたという。しかしその後、リフターが息を吹き返すと、アジャスターをつぶすので出来ればやりたくないということなのだが、残念ながらリフターの在庫も時間もない中での整備なので、これをやるしかなかったのだ。.
これでしばらく様子を見ましょうということになった。ヴァナゴンで大阪から西へは未知の世界になる。その前に愛機を診ていただいた岡田メカにほんとうに感謝である。
荷物を戻した後に、熟睡している子供たちを再び愛機に戻した。
「今日はどこまで走るの?」と岡田メカが聞く。
「明日朝、明石フェリーで淡路島に渡りたいので、とりあえず吹田SAあたりでビバークですかね」と僕。
エンジン音は忘れかけていた低いノイズに変わっていた。ようやく本来の音になった。一礼をして愛機のコックピットにおさまる。
雨脚が強くなりつつある中、T3はファントムガレージを後にして、再び西に向かって走り出した。