さてなんとか無事に帰ってきた我と我がT3ヴァナゴン、排気モレを直してからエンジン音の質が変わった。
ボロボロ言っていた排気音が大分抑えられて、明らかに静かになったのである。しかし逆に「ニーーー」というミッションの音が気になるようになってきた。
とくに中速域でアクセル半開の状況だと、排気音よりもこちらの音の方が耳に障るくらいだ。
後方に乗るカミさんに音の変質を聞いてみたが、「そう?全然変わらないけど」というそっけない返事。
これはどうも「ヴァナゴン耳」が出来たようである。
人間の耳は器用なもので、訓練によって雑多な音の中から目的の音だけを聞き取ることができる。
学生時代にバンドを組んでいた頃、演りたい曲を聞き込んでいると、そのうち聞きたい音(僕の場合はベース)だけが他の音から際立って聞こえてきた。それと同じようなものだろうか。
というわけで、ATFの交換は1年毎くらいでいいかなと思っていたのだが(2005年9月28日の記事)、前回の汚れ具合も手伝って、長距離に出る前に半分くらいでも交換しようと思っていた。
最近量販店ではATF交換をしきりに勧めているが、走行距離5万kmを超えた車はまずやってくれない。ましてやこうした旧い車なんかは論外であろう。こういう車を扱いなれている専門店か自己責任において自分でやるしかない。
「オートメカニック」誌においても、メーカー、ATF販売元、量販店など見解がことなると言うことが書いてあった。
ということで、今回もUさんが「交換するよ~」と呼びかけてくれたので、早速手を挙げさせていただいた次第である。
今回は全量交換まではしないつもり。前回と同じ「RedlineD4」を3Lほど用意していただいた。
前回のおさらい。通常のATF交換は、Uさんによると以下の通りがいいだろうということ。
1:まず3Lほど抜く
2:新しいATFを同じ量入れる。
3:10kmほど走行する。その際、LレンジからRレンジまで満遍なくすべてのギアを使用する。
4:再度3Lほど抜く。
5:新しい3Lを入れる。
6:LレンジからRレンジまで満遍なくすべてのギアを使用して、10kmほど走行し、量の確認をする。
7:問題無ければ完了(上記を状況により数回繰り返す)。
*10kmほど走れば、普段使っている温度まで上昇する。
今回はちょっと手抜きをして最初の3L交換で済まそうと思っている。もっとも抜いた3Lが予想を超える汚れを示していれば、全量交換の必要がでてくるだろうが。
というわけで、とある休日の午後、Uさんの車が置いてある駐車場に向かった。
RedlineD4のキャップは開けにくい。髪の毛ほどのゴミさえ入れられないATFだが、栓の役割をしている紙がはがしにくいのなんの。紙の繊維とかの混入の可能性は気にならないのかなあ。
昨日もT3のオーナーから、「(ヴァナゴンを)家族の一員のように大切にしています・・・これからも毎回楽しみに拝見させて頂きますので、どうぞ、長ーくバナゴンを維持されて、ブログをアップしていてください」というありがたいお手紙、じゃなかった、おメールをいただきました。
いや嬉しいことです。そうです、苦労しているのは自分だけじゃないということを実感できることもまた、ブログを書き続けるモチベーションになるのです。車の写真もいただきましたが、やっぱ一回すれ違っているような気がするなあ。
さて、ATF交換の続き。
作業の合間にNさんから、「この車、CWに預けていませんでしたか?」と聞かれたので、確かに買ったばかりの頃はしょっちゅう預けざるを得なかったんですよ、と言うと、やはりそうでしたか、車内に貼ってあるロープワーク見本の額と温度/湿度計が印象に残っていましたと話された。ふーん、なんて思って、やはりNさんの車に貼ってあった「パタゴニア」のステッカーについてたずねると、とある海洋ジャーナリスト(と最近は肩書きはなっているようなので)の話がでてきた。
ここで「ん?」と思った。
確かCWでまったく同じ話しをしてましたよっっ。
帰ってからこのブログを確認すると(こんなときに便利ですね。まさに日記だ)、2003年の2月15日の記事にしっかりと書いてあったのだ。
…と、このあたりで作業の話しに入らないと先に進まないな。
NさんのATF交換が済んだので試乗をする。
オリジナルマフラー、J-パイプのままで実に静かだ。U村さんの「西沢さんの車が来るとすぐわかるなあ」という音とは対象的。
都内の住宅地なので飛ばすわけには行かないのだが、その分ちょこちょことシフトされる。
シフトアップは僕の車よりもおとなしく、シフトダウンはほぼ同じような感触である。やはり他の車に乗ってみないと、自分の車がどうなのかわからないところもある。静かでスムーズ、Nさんの車の印象だった。
一周したところで駐車場に戻ってATFのレベルを計り、問題がなければ終了である。
そしてようやく僕の番だ。
ATFは走って来たばかりの状態では、ほとんどミッション内(っていう言い方で良いのかな)に残ってしまっており、オイルパンに十分に落ちきるまでそこそこの時間そっとしておかなくてはならない。それでも3L抜ければいい方である。
ということで、NさんのATFの交換後もしばらくしてから作業に取り掛かった。
ATFの液量を測るスティックの穴にチューブを差し込んで、フールドを抜き取るのだが、ATFを交換する際に注意しなければならないのは、絶対に異物が混入しないようにしなくてはならないことだ。ATミッションは非常に複雑な機械で、ちょっとしたゴミでも故障の原因となる。ゲージも糸クズやゴミなどがつかないように細心の注意が必要である。軍手などの繊維が抜ける可能性のある手袋は使わない方がいい。
そして抜いたATFの汚れは・・・幸い気にしたほどの汚れは出ていなかった。
今回は予定とおり、抜くことができた3L分くらいを交換することにした。
交換そのものにかかる時間は、(ボトルの紙を取り除くことを考えなければ)そんなにかからなかった。エンジンオイルと違って、止まった状態で適量を量ることはできないので、とりあえず抜いた分をそのまま補充するしかない。
交換後、3人乗り込んで試運転に出発する。
新しいATFが行き渡るように(あくまでも感覚的なもんだけど)クリープさせながら、ゆっくりとアクセルを踏み込んで行く。シフトアップを感じる(といっても、T3ヴァナゴンは「3速」オートマチック。トップまでに2回しかシフトしない・笑)。今まで2→3速に「無風地帯」があった。それが無くなったわけではないが、シフトの感触は確かに良くなった。
同乗したNさんが「なんか(自分の車より)ぜんぜんいい感じがするなあ」と言うが、Uさんが「いやー、皆そう思うもんです」と言う。その通りでそんなもんでしょう(笑)。
ガコンガコン言っていた問題のシフトダウンについても、まだ幾分かのシフトショックは残っているものの、前よりは良くなっている。
周囲をぐるぐる周って帰ってきてから、エンジンを切らずにそのまま液量のチェックをする。
すると、アッパーラインよりも若干多い。規定量より多いというのは車にとって良くない。これはエンジンオイルもそう。
なので、少し抜いておくことにする。「あとで液量のチェックをしておいてね」とUさん。今回もお世話になりましたm(__)m。
その後帰るときに、気になっていた「ニーーーーー」音も前よりは抑えられているように感じた。
しかし今度はカチャカチャとタペット音が気にかかるようになってきた。際限ないなあ・・・。